ご挨拶
大学院教授、消化器外科部長
吉田 寛
日本医科大学消化器外科は、食道から直腸・肛門にいたる全消化管、肝胆膵と脾臓を含めた消化器疾患を専門とする診療科です。疾患内容は急性腹症に代表される腹部救急疾患から消化器悪性腫瘍まで多岐にわたり、その手術件数は年間1,500例を越えております。また当科では日本外科学会、日本消化器外科学会、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本内視鏡外科学会など、多くの学会の専門医・指導医を数多く擁し、どの領域においても質の高い医療を提供していると自負しております。取り扱う臓器も疾患も多岐にわたっているため、それぞれの臓器別に診療グループを構成、各分野の治療成績の向上を目指し日夜努力しています。各臓器の診療グループは、それぞれ密接に連携して総括的に一人一人の患者の皆様を診ていくことを大切にしています。また当科では他科との連携により併存疾患を有したハイリスク患者様に対しても積極的に治療を行っております。
他病院で治療を断られた患者様に対しても可能な限り対応するのが大学病院の責務と考えております。
専門医制度の見直しに伴い医学教育の根源的な変化が求められ、外科医の卒後教育のより一層の充実が望まれているものと思われます。外科の各分野でも専門化が急速に進むことにより他の分野に疎くなる傾向があります。これから求められるのは深い(垂直型)専門的知識と実践力を有するのみならず、他の領域にもわたる幅広い(水平型)臨床能力を兼ね備えたバランスのとれた外科医であると考えております。手術手技に習熟し、常に新しい医学医療技術を学ぶことは外科医にとっては当然ですが、同時に優しい、いたわりの気持ちを持って患者様に接することも大切です。よって、「人を思いやる心」を重んじた医学教育に力を注ぎ、さらには患者様の心理的側面や、置かれた社会的な背景にも十分配慮できる外科医の育成が教室の重要な仕事の一つと考えています。
近年の医学の進歩は目覚しく、癌治療、分子生物学、感染症、ショック、低侵襲手術後の生体反応などの分野における知識の量は以前と比較にならないほど膨大です。その進歩が速やかにとり入れられ、ミクロまたは分子の視野からマクロの視野の外科臨床の場にフィードバックされて、日常診療に応用される可能性を求めて日夜努力しております。つまり、「楽しく働き・熱心に学ぶ」、常に外科臨床に沿った基礎研究に真摯な姿勢の教室でありたいと念願しています。
このホームページを通じて、今後もご指導、ご鞭撻をお願い申し上げ、ご挨拶と致します。