論文抄読会

第8回消化器外科論文抄読会を開催(2024年11月9日)いたしました。

2024年11月20日

開催日:2024年11月9日
司 会:萩原信敏先生
指導医:上田純志先生
発表者:山下史晃先生
論文名:Four-Year Report of Iatrogenic Bile Duct Injury Repair from a Referral Hepatobiliary
掲載雑誌:MiddleEastJDigDis. 2024 Jul;16(3):173-177.doi: 10.34172/mejdd.2024.385. Epub 2024 Jul 31

今回の発表は専攻医2年目の山下先生にやって頂きました!
山下先生は若手医師として鼠径ヘルニア・虫垂切除・胆嚢摘出などの良性疾患手術を中心に数多くの手術を経験されています。日夜フットワーク軽く、病棟を駆け回ってくれています!
そんな山下先生は普段執刀する機会が多い胆嚢摘出術の合併症についてきちんと勉強したいと思い、今回の論文を紹介してくれました。
概要としては、医原性胆管損傷(BDI)は、腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)を行う上で最も一般的な合併症のひとつです。そのLC後のBDIについてイランの大学病院がまとめた報告となります。
・胆管損傷の分類にはBismuth分類・Strasberg分類などがあり、損傷部位によって再建方法が異なるということ。
・BDIのリスクを軽減するためには、術前に解剖学的構造を正確に可視化し、同定することが重要である。
・シャルコーの三徴候などの臨床状態は、患者の予後を決定する因子で重要である。
・BDIが起きたら、最終的な治療は三次施設に依頼することが必要になることを念頭に置く。
・BDIに対する胆管修復術では吻合部狭窄などの術後合併症が起こりうるので、術後は長期にわたる十分な経過観察が必要である。
当院ではLCが年間300件を超えるほど行っています。しかし、4年間はBDI発生はなく、平均の0.5%を切っています。
今回の抄読会であまり経験することのないBDIについて学ぶことができました。BDIは命に直結する恐ろしい合併症だということを改めて実感しました。気を引き締めて、引き続き合併症のない手術を行っていけるよう皆で考えていきましょう。

日本医科大学付属病院消化器外科論文抄読会
日本医科大学付属病院消化器外科論文抄読会


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