論文抄読会
第10回消化器外科論文抄読会を開催(2025年1月11日)いたしました。
2025年1月16日
開催日:2025年1月11日
司 会:松田明久先生
指導医:横山康行先生
発表者:風間洸哉先生
Effect of Cognitive Prehabilitation on the Incidence of Postoperative Delirium Among Older Adults Undergoing Major Noncardiac Surgery
掲載雑誌:JAMA Surgery. 2021;156(2):148-156. doi:10.1001/jamasurg.2020.4371 Published online November 11, 2020.
今回の発表は専攻医2年目の風間先生にやって頂きました!
風間先生はとても優しい先生で、その穏やかな笑顔に皆癒されています!忙しいときも嫌な顔せずに働く姿は、見習っていきたいです!
今回の論文は2020年のJAMAのもので、非心臓手術を受ける高齢者に対して術前の認知リハビリは術後せん妄の発症を低下させるのかを評価したものです。我々は日常診療でせん妄に苦しむ患者さんに多く出会います。風間先生は術後合併症としてのせん妄がどのようなリスクや解決策について関心があり、今回の論文を紹介してくれました。
術後せん妄(POD)とは術後の高齢者によく見られ、短期的・長期的予後を悪化させるものです。年齢とともに発症率は増加し、高齢者の3分の1に認めると言われています。PODは術後の機能回復を遅らせ、入院期間増加とコスト増大にもつながります。POD予防のための認知運動プログラムを含む術前リハビリテーションが有効という報告もありますが、未だ明確な結論は出ていません。
今回の論文では術前の認知運動プログラム(Lumosity:米国で開発されたアプリケーションゲーム)が 術後せん妄発症に与える影響を調査しています。
無作為化を受けた患者268名のうち、介入群125名、対照群126名が解析されています。せん妄発症率は対照群で 23.0%(29/126)、介入群13.2%(16/121)(P=0.04)であり、有意に発生率を低下させました。
今回の論文では術後せん妄予防に術前のリハビリテーションの有効性を示してくれていました。術後せん妄の機序は複雑で、背景疾患・術式・術中要因・神経膠細胞の炎症など様々なものが影響します。つまり、術後せん妄の予防には様々な介入方法があると思われます。当科では年間1500件を超える手術件数があるため、術後せん妄を如何にして防げるのか、教室で考え、患者さんの利益につながる研究ができるといいですね。風間先生、緊張で手が震えていましたが、良い発表でした!次回も宜しくお願いします!
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