論文抄読会
第9回消化器外科論文抄読会を開催しました。
2025年12月24日
開催日:2025年12月20日(土)
司 会:山田岳史先生
指導医:室川剛廣先生
発表者:須藤悠太先生
論文名:Rivaroxaban Prophylaxis in Noncirrhotic Portal Vein Thrombosis
掲載雑誌:NEJM Evidence. 2022;1(6):Article oa2200104.
発表者の紹介と論文の選定理由
今回も、若手外科専攻医の須藤悠太先生より、門脈血栓症に対する抗凝固療法に関する論文の発表をしていただきました。須藤先生は、普段から診療にも積極的に関わっており、今回も自身が病棟管理で遭遇した症例から興味を深め、関連する文献を選定してまとめてくれました。難解な病態である門脈圧亢進症について、専門外でも理解しやすいよう丁寧な構成と説明で、大変実りある発表となりました。
論文の概要
非肝硬変性門脈血栓症についてのReview。
研究デザイン
Patient:Noncirrhotic Portal Vein
Thrombosis(NCPVT)かつHigh risk factorを有さない成人患者
Intervention:Rivaroxaban 15mg/dayの抗凝固療法
Comparison:吸非抗凝固療法
Outcome:2年以内の静脈血栓塞栓イベント or 死亡
さらにfollow
up期間を設けて、抗凝固療法群は継続を、非抗凝固療法群にはRivaroxaban含めた抗凝固療法の導入をRecommendした。Randomization期間、follow
up期間を通して抗凝固療法を行わない場合は血栓塞栓症の再発リスクが高まった。これより抗凝固療法が慢性NCPVTにおける再発血栓予防の役割を果たしていると考えられた。またNCPVTの一般的な基礎疾患はいずれも再発リスクと有意に関連せず、PVTの既往自体が血栓再発の重要なrisk
factorであると考えられた。
ディスカッションの要点
- volumeの多い内容を、最後にPICO形式で整理すると、聴衆の理解を助け、良い発表になる。
- JAK2陽性のような骨髄増殖性疾患を持つ症例にはアスピリンがFirst choiceであり、今回の研究との適応の差異が指摘されたが、研究ではそうしたHigh
risk症例は除外されているため妥当と評価された。
指導医コメント
「準備期間や添削のやり取りもスムーズで、発表当日をストレスなく迎えることができました。発表自体はやや情報量が多い印象でしたが、聴衆に配慮しながら進行され、有意義な内容だったと思います。普段触れることの少ない、高いエビデンスレベルの文献に取り組んでくれたことも非常に価値があります。今回の抄読会で得た知識とプレゼンテーション力を、今後の学会発表や論文執筆にぜひ活かしてほしいと思います。」との講評をいただきました。
まとめ
消化器外科医にとって、消化管だけでなく肝胆膵領域や血管病変に対する知識も不可欠です。今回のような専門的で臨床に直結する文献を通じて、チームとしての医療の質をさらに高めていくことが求められます。日々の疑問を出発点に自ら学び、共有する姿勢が、今後のより良い診療につながっていくと感じさせられる抄読会でした。
次回予告
2026年1月24日(土)に開催予定です。
司 会:松田明久先生
指導医:横山康行先生
発表者:深澤元先生
次回も外科専攻医の発表となります。ぜひご期待ください。