日本門脈圧亢進症学会 田尻賞を受賞して 岩井拓磨(2007年卒)
題名
「大腸癌肝転移切除後のオキサリプラチン投与例における脾臓容積変化の検討」
概要
我々はこれまで、脾臓容積がオキサリプラチン(Ox)誘発の肝類洞障害のsurrogateマーカーとして機能することを報告してきました。本研究では、肝切除の有無がOxによる類洞障害にどのように影響するかを検証しました。結果として、肝切除の有無で類洞障害の発症頻度には差が認められませんでしたが、肝切除後にはOxの投与終了後も類洞障害が高頻度で遷延することが示されました。類洞障害は手術、化学療法いずれにも影響及ぼす有害事象であるため、進行大腸癌の治療戦略を立てる際の重要な知見であると考えます。
田尻前学長の名を冠したこの賞を頂き、喜びとともに身の引き締まる思いです。また吉田教授をはじめとする多くの先生方のご指導・ご鞭撻に感謝申し上げます。今後も臨床に直結する研究を発信できるよう精進する所存です。